ストーリーとしての戦略
『ストーリーとしての競争戦略』(楠木建著)というビジネス本は、とても勉強になりました。ビジネスセンスゼロの僕が読んでもわかりやすかったです。
本の中身は「「経営は気合いだ」とか「野生の勘」と言っておきながら「フォーム」が大事と展開し、「戦略の本質は、違いを作って、つなげる」「何をやらないかを決める」などの金言が散りばめられておりました。中でも大切なのは「戦略のストーリーを構築する」こと。戦略というとサッカーファンとしてはサッカーにおいての戦略・戦術を思い浮かべてしまうんだけど、実際この本でも、サッカーに例えての話も多かったように思います。いかに有効なキラーパスを出し、得点に繋げるか、ビジネスもサッカーも共通点があるようでした。
プレミアリーグ今節の「チェルシー対マンU」戦、好調マンUにモウリーニョのチェルシーがどんな戦いを見せるのか興味を持って観ましたが、まさに見事なストーリーを構築していました。
おそらく、モウリーニョのストーリーとしては引き分けでもいい、あわよくば、少ないチャンスをものにして 1-0の勝利というのが大枠の考え方だったんじゃないかなと思います。で、それを実現するために、戦略を立てたとすれば、その戦略はごく真っ当なものだったと思います。
最近好調のマンUの原動力は、フェライニとマタとエレーラ、そしてボランチのキャリックでした(個人的にそう認識していたのですが、どうでしょうか)。この日、キャリックは怪我で欠場だったので、モウリーニョ監督の戦略は、キャリックを除いた他の選手のプレーを窮屈にすることだったと思います。まず、ズマをボランチにいれて、フェライニをマークさせる。そして、マタにはアスピリクエイタをマークさせて、機能を鈍らせた上に、ルーニーをマティッチに見させるというやり方をしていたように見えました。
しっかりした、フォームを持って、ストーリーを想定し戦略を構築させていたんじゃなないでしょうか。しかも、非常に理解しやすい方法で。だから、選手も迷いもなくプレーできていた。上のビジネス本で、書いていたように「何をやらないかを決める」をはっきりさせていて、モウリーニョはおそらく、夢の様な攻撃サッカーはやらないということを決めたのでしょう。試合が終了する間際には、時折ドログバも下がって、ルーニーを見る形になっているシーンがいくつかありましので、もしかしたら、最終盤には、マティッチはルーニーを見るよりよりディフェンスライン近くまで下がり、空いたルーニーをセンターフォワードがケアする戦略まで考えていたのかなとさえ思いました。
『ストーリーとしての競争戦略』の中でも言っていましたが、「ビジネスは獣道(けものみち)」なので「理屈で説明つくことは20%、理屈で説明できないことが80%」だから、成功事例をマネしてもダメだと。このレベルのサッカーとなるともっと厳しいのかもしれません。だとすると、常に勝利するってやっぱり奇跡的なんだなと思いますね。
チェルシー 1-0 マンチェスター・ユナイテッド